食べ物エッセイスト 小日向 舞さんエッセイ

食べ物エッセイスト 小日向 舞さん

食べ物エッセイスト 小日向 舞さん

「ほっと一息」萌黄

いろんなお茶を飲み比べていくうちに、味の「系統」なるものが見えてくるようになってきた。お茶の風味は、深蒸し茶、普通蒸し茶など、蒸し方の違いや、一番茶、二番茶、番茶など、いつ摘んだかによって、味はさまざまに変わる。

「萌黄」は深蒸し茶の「分類」のなかで、価格は「若葉」と「茶烟」のちょうど間であるが、味もまさに、その二つの茶の中間といった感じである。これらはみな同じ系統の味と香りを持つが、「萌黄」は「若葉」よりさらに苦みが少なく、旨味は多い。そして「茶烟」よりは、やや旨味が少ない。

私はこの「萌黄」も、なかなか気に入っている。「若葉」よりはうまく入れるのが難しくて、温度や湯の量のコントロールに、それなりの注意が必要だ。つまり、入れ方によって味がかなりちがってくるため、自分好みの絶妙の入れ方やタイミングを見つけて、できればいつも、その味を作りたいのである。

いろいろ試した結果だが、70度強くらいの温度で、葉は少し多い目にして、2分間入れるのがベストだと思う。なぜその温度に設定したかと言うと、若葉より旨味が多いから、ちょっとだけ低くしてみただけの話である。それほど深い意味はない。そもそも、そんな微妙な温度差で、どれほど味に差が出るのかはわからないが、自分で「これがいい」と思ったポイントを見つけてからは、それをただひたすら繰り返している。

絶妙のバランスで入れられたときは、実にうまいし、なによりも気分がいい。しかも、二煎目でもけっこううまい。若葉のように、何杯も飲むお茶というよりは、少量で満足を得るタイプのお茶だ。1、2杯を、時間が空いたときの休憩に、ぴったりである。

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