大名物(深蒸し茶)100g缶

カテゴリ:

大名物(深蒸し茶)缶
  • 茶葉
  • 抽出

掛川市日東地区の限定品。
篤農家の茶園の若芽を丁寧に摘んだお茶です。

※茶道では茶道具の名品を名物と呼びます。
名物のなかでも利休以前の特別な優品を大名物と呼びます。

掛川市日東地区の優良茶園の良質な旬の若芽を丁寧に摘み、限られた原料を仕上げた限定品。

茶葉5gにつき、70度に湯ざまししたお湯を150cc入れ約1分30秒おいてからお飲み下さい。
※お好みで茶葉を増減しお愉しみ下さい。

価格
5,000円(税別)
内容量
100g
包装・容器

食べ物エッセイスト 小日向 舞さんエッセイ

食べ物エッセイスト 小日向 舞さん

食べ物エッセイスト 小日向 舞さん

タダものじゃないお茶「大名物」

「大名物」は、「名物」のさらに上のランクのお茶である。気楽に楽しもうと思ってはみるものの、うまく入れられないと、なんかもったいない気がしてならないほどの、いいお茶である。おかげで店主にいただいてから、なかなか開封して飲む勇気が出なかった。その間、ずっと冷凍庫に入れて、これぞという日のために大切に大切に保管していた。

あるとき、ついにゆっくりお茶が楽しめそうな日がやってきたので、開封してみた。我ながら非常にうまく保存できていたせいか、香りも味(入れる前の葉の味)も申し分ない状態である。心躍らせつつお湯を沸かして入れてみた。
濃い黄緑色のお茶が、とろりと急須から出てきて湯呑みにたまっていく。その瞬間に、ふわっと広がるよい香りで、期待はさらに膨らんだ。そして、まずは一口。ゆっくりと口に含んで飲むと、「ん~、おいしいけど、どうも入れ方がよくないかも」と、「名物」を入れたときと同様に、悔しいけれど自分が納得できる味にはなっていない。

こうなったらもう助っ人を呼ぶしかない。私の友人で、お茶を入れるのが非常にうまい人がいるので、彼女をうちへ呼んで「大名物」を入れてもらうことにした。

彼女は、お茶を仕入れて自分で販売したりもしているので、お茶にとても詳しく、入れるのもうまいわけである。が、入れ方のコツを聞いても、毎度「適当だよ」としか答えてくれない。それでも彼女が入れてくれるお茶は、それぞれのお茶のおいしさを、ぐぐっと引き出したような味がするから不思議である。

「大名物」の茶葉を見て、彼女はまず、「うわあ、すごいお茶だね。みる芽(若芽)だけでできてる!最近は、こんないいお茶、滅多にお目にかかれないよ」と、いささか興奮気味に言った。

彼女は、急須、湯のみの順に湯を注いで冷まし、「大名物」の袋にズボッと手を突っ込んで、適当に茶葉をつまんで急須に入れた。そこに、またしても「適当に」湯を注ぎ、しばし待つ。数分間、他愛もない話をしていると、今度は茶こしを取り出して、おもむろに湯のみに注いだ。

茶こしに出て来たトロトロにとろけた茶葉を見て、彼女は「やっぱり、このお茶はタダものじゃないね。ほんと、こんな風にとろけるお茶は、今どきないよ。こんないいお茶飲んでいいの?」と言った。やはり「大名物」は、お茶通もうなるスゴいお茶であるらしい。

タダものではないお茶は、飲んでみると、味も香りもタダものではなかった。そして案の定、私が入れたときとは全然ちがう味がした。「的を得た味」とでも言えばいいのだろうか。まずは、お茶とは思えない、フルーツのような独特の香りが、脳天いっぱいに広がる。そして次に、ほろ苦く、とげのない味が、口の中でとろける。軽さと重さ、浅さと深さが同居しているような、とにかくいろんな味が一気にふわっと広がる感じがたまらない。舌の上で味を転がすというのはこういう体験にちがいないと思った。

一口飲んで、「ほんまびっくりやわ!うちが入れてもぜったいこんな味せえへんねん」と言うと、彼女は、「いやあ、そんなことないよ」と言ったあとに、「人に入れてもらうとそう感じるだけだよ」と照れ隠し。その後、彼女も一口飲んで、「わぁ、すっごく変わったお茶だね。こんな不思議な味のお茶はじめて飲んだよ」と言った。

お茶の味は、入れる人によって確実に変わる。 そして私は、最高級のお茶を、最高級の味に入れてもらえて、たいそう幸せだった。自分でもそんな味に入れてみたいが、まだまだ修行が足りないらしい。そんな「大名物」の奥深い魅力を引き出すのは至難の業であるが、絶妙な入れ方さえすれば、そこにはまた新しいお茶の世界が広がっている。そして、良いお茶を、 一人ではなくこうして誰かと一緒に楽しむというのも、乙なものである。


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